これまでリビング階段のデメリットとして、心理的作用を中心として考えてきました。
今回は、構造上からのデメリットを考えてみましょう。
【空気の流れ】
一般的に、暖かい空気は上に、冷たい空気は下に流れます。リビング階段のデメリットとして1番にあげられるのが、「リビングが寒い」ことです。
これは「吹き抜け」と同じ原理です。2階の冷たい空気が階段を伝ってリビングに流れ込みます。リビングをいくら暖めても、暖かい空気は階段を伝って2階に上がってしまうので、冬の光熱費が非常にかさみます。
【高気密・高断熱なら寒くない?】
寒さ対策として、こうでなくてはならない、という条件が「高気密・高断熱」になるのですが、新築ならともかく、改修でリビング階段にする場合に、合わせて高気密・高断熱にするにはかなりの予算が必要です。
「家の断熱性能がよければリビング階段も寒くない」という業者もありますが、実際はどうなのでしょうか?
これは、住宅の断熱性能を数値的に表す「熱損失係数(Q値)」と呼ばれるもので測ることができます。Q値とは、床面積1㎡あたりに逃げ出す熱量のことです。
熱損失係数が低いほど断熱性能がよいとされるのですが、残念ながら、このQ値というものはあまりあてにはなりません。家全体の数値ではなく、家の中の場所によって違うために、たとえ新築で高断熱をうたっていたとしても、高性能サーモカメラを使って家中いたるところを調べていなければ、正確なQ値を調べることはできないのです。
【結局の対応策】
まず、高断熱であるに越したことはありません。その場合、高断熱を依頼する改修業者は本当に信頼できるところを選ばなくてはなりません。
予算の都合で他の対応策を考えるのなら、階段をスケルトンタイプはやめて、ドアで開け閉めできるタイプのリビング階段にすることがあげられます。
しかしこの場合、吹き抜けのような開放感は得ることができないので、あくまでもリビングを通過点にするためだけのリビング階段になってしまいます。リビング階段の役割をどこまで求めるかによって、間取りとデザインが大きく変わります。家族構成、ライフプランと共に、綿密なプランを考えましょう。
*関連記事
『リビング階段のデメリットとその対策とは/その3』(この記事です)